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詩集『ECHOS DE LA NATURE』日本語訳より

 

 

《ひとかけらの海》

 

 

もし僕が

ひとかけらの海を持っていたら

それはきっと

透き通るほど青い色をしていて

少し寂しい波音が聞こえてくるだろう

 

愛する人想うとき

静かな涙

あふれるだろう

そうしてひとかけらの海に波が立って

涙はどこかに運ばれてゆくだろう

 

透き通るほど青い色

そのひとかけらをの海を手のひらに包んで

そっと胸にあててみる

 

目をつむると

清らかな光り

波音のなかに揺れている

 

 

 

 

 

《ひかり》

 

 

風のさまよい

雨だれのなぐさめ

優しい色の窓辺で

ため息

ぼんやり外を見ている

 

時間だけが人知れずゆき

 

風の旅立ち

雨だれのたわむれ

夕暮れの窓辺で

明日のわたしが空を見ている

 

 

 

 

 

《心葉》

 

 

風に舞う一枚の木葉

わたしの心がそっと包む

 

透き通るほどの青空

はるか遠く

 

わたしの願いもまた

はるか遠い

 

 

風に舞う一枚の木葉

わたしの心をそっと包む

 

 色ずく大地

足元に広がり

 

わたしはいま

ここに生きている

 

 

 

 

 

《めぐり合い》

 

 

夕暮れ近く

水平線を見つめていると

ときどき

はるか遠くから

声が聞こえてくる

 

それは国も時間も越えて

波音とともに

砂浜に打ち寄せながら

悠久の物語

語り続けている

 

その物語を前にすると

人生というのはあまりに短すぎる

短すぎるけれど

大空に広がる雲たちのように

たくさんの心模様

生まれている

 

そういう心模様

 

いつか波音になって

はるか遠くの浜辺に

流れ着くこと

 

あるだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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